2021年8月5日発売「my HERO vol.01」より引用
【YouTuberたちの告白】my HERO vol.01 ~ BEHIND THE SCENE ~
──銭湯での撮影は終始楽しそうでしたね。
タナカガ 新鮮で面白かったです。営業前の銭湯に来ることなんてないですから。
──YouTubeとのギャップを感じないくらいリラックスしていて。
タナカガ じんじんとはパパラビーズの結成前から友達で、ずっと関係性が変わってないんですよ。
──最初の出会いはイベントだったんですよね。
タナカガ 私がモデルとして出演したイベントにじんじんがMCで来て。気が付いたらよく遊ぶグループの一人になっていました。でも、最初は敬語だったよね?
じんじん 僕が年上だからね。
タナカガ 「じんじんさん」って呼んでいました。
じんじん かわいかったですよー(笑)。でも、タナカガは「はじめまして」の頃から面白かった。年上にもガンガンつっこんで、じんじんのこともよくいじってきてた。僕はずっと「この人は人気者になる」と思っていました。根拠はなかったですけど(笑)。それで友達として遊んでいるうちに、一緒にYouTubeをやりたいなって。
──実はパパラビーズのチャンネルはもともと、じんじんさんが一人でやっていたんですよね。
じんじん 黒歴史です(笑)。あまりにおもんなかったから今は全部消してもらったくらいです。そこで誰かと一緒にやったほうがいいんじゃないかってことになり、軽いノリでタナカガに電話して。そこからですね。
──タナカガさんは読者モデル(読モ)だったとか。
タナカガ 読モっていうても、今みたいに雑誌に出るモデルさんのことじゃないんですよ。私が高校生の頃はSNSのフォロワーがたくさんいるおしゃれな子らが読モと呼ばれていて、その団体が地域ごとにあったんです。定期的にファッションショーをやるんですけど、私はその中でも有名な団体の下の団体に所属していて。
──モデルにはなりたかった?
タナカガ そんなわけでもなく、友達に誘われて入りました。モデルに興味すらなかったんですけど、いつの間にか副代表になるくらいがんばっちゃったんですよね。
じんじん で、その団体のイベントに僕がMCで出て。今ではこうやってYouTuberやってますけど、ふとしたときに、「あのときイベントに出てなかったら……」と思うことはありますね。
──そこからパパラビーズとして動画をアップしたのが2018年2月。じんじんさんがタナカガさんを誘ったわけですが、この人と一緒だったらブレイクできると思っていたのでしょうか?
じんじん いやー、「この人とやったら自分も人気者になれる」とかは思ってなかったですね。タナカガとなら、とにかく面白い動画が撮れそうだなと思ったくらいで。
タナカガ 当時は読モがYouTuberになっていく時期でもあって、私はその手伝いを裏でやっていたんですよ。動画の編集や企画のバイトみたいな。だから、YouTubeの仕組みはなんとなくわかっていたんです。でも、じんじんはYouTubeのことをあんまり知らない。そこに私が入ったらもっと伸ばすことができる。じゃあやってみようか。そういう感じです。
──実際、パパラビーズのチャンネルはスタートから1週間で登録者数5万人を記録するなど、初期から順調な滑り出しでした。
タナカガ それも周りのYouTuberを見ていたからやと思います。でも、そのときは何万人を目指すっていうより、誰々を抜かしたいという気持ちが強かったですね。
──ライバルを設定していた。
タナカガ してました。そのほうがやる気が出る。負けず嫌いなんです。やるなら本気でやりたい。中途半端やと、それこそ黒歴史になってしまうから。そこは最初にめっちゃ話したよね?
じんじん したした。でも、僕は変な自信があって、絶対にこのチャンネルは伸びると思っていました。だから、タナカガみたいに「この人を抜きたい」とかはなかった。それよりも企画のことばかり考えていました。ただ、数字はそんなに気にしてなかったという意味では一緒だったかな。楽しい企画ができればみんな観てくれるはずって。
タナカガ でも、私もいけるやろとは思っていたよ。同じような活動をやっていたYouTuberが30万、40万の登録者数にいってたから。
──それは「あいつらがいけるなら自分たちも」という意味で?
タナカガ 私はそうなりたいと思っていました。当時、意外と中身がごたごたでも数字は伸びているグループがけっこういて。実はそこまで仲良くなくても伸びていくなら、本当に仲が良い友達で真面目にやればもっといくよねと。それも彼らとは今も何でも仲が良い友達だから言えるんですけどね。「あんたらを抜かすことが目標や」と本人にも言っていました。
じんじん だから決して見下していたわけじゃなく、一緒に切磋琢磨したい存在だったんです。
タナカガ でも、私たちが登録者数で抜かしたときには向こうがYouTubeを辞めちゃった。あれは悔しかったなあ。もっと一緒にがんばりたかった。
──パパラビーズのチャンネルは大食いやドッキリなどさまざまな人気コンテンツがありますが、企画はどう決めているのでしょう?
タナカガ その場その場ですね。
じんじん 長期の計画はほとんど立てないかな。同じジャンルの撮影が続かないようにバランスに気を使うくらいで。
──企画に反対することは?
タナカガ 全然あります。
じんじん どっちかが反対したらやりません。それでもやりたい場合は話し合って決めます。いいものを作りたいから企画についてバチバチすることはあるんですけど、話し合いの1分後には元に戻っている。お互いに引きずらないよね。
タナカガ 「ぜんぜん会いたくない」とかはないですね。
じんじん ケンカはしないってことです(笑)。
──撮影のたびにテンションのスイッチを入れるとかは?
じんじん ないよね。あらかじめ台本も決まってないし。自然な関係性のままっていうか。
タナカガ 私らは普段からこのテンションなんですよ。そういうスタンスやから続けられているんだろうし。
──では、解散したくなったこともない?
タナカガ じんじんに対して思ったことはないけど、SNSとかYouTubeのコメント欄で「死ね」とかくると、しんどくはなります。普通に生きていたらそんなん言われることないじゃないですか。なんでこんなムダなストレス抱えないとあかんのか、アホらしいわって。そういうときはやめたくなります。
──やっぱり有名になるとネットで「死ね」とか言われるんですね。
タナカガ そうなんですよ。送っている人は想像つかへんと思うけど、言われたほうは傷つきます。
じんじん 僕はあまり見ないようにしているので、タナカガみたいになったことはないんです。でも、コメント欄とか見たら病みそうだなとは思います。そもそも僕はネガティブな面も大きいですから。
タナカガ そうそう。普段はめっちゃポジティブやけど、テレビの仕事とか、「できひんかったらどうしよう!」って緊張感がすごいときある。私は有名な人との共演でも、「まあ同じ人間やし」と思って緊張しないんですけど、じんじんはオンエアで一言も発してないときあるよね(笑)。
──もともと「YouTubeで絶対に有名になってやる」みたいなところから始まってないじゃないですか。本業を知ってもらうために名前を売りたいとかでもない。そうなると、パパラビーズの活動の原動力はどこにあるのでしょうか?
じんじん 僕はツイキャス主をやっていたときに今の事務所にスカウトされたんですけど、当時は周りから「オタクじゃん」みたいな冷めた反応をされていたんですよね。その悔しさが根っこにあります。
──「いつか見返してやる」と。
じんじん めっちゃありました。
タナカガ 私もそうです。むしろ、それしか原動力はなかったかもしれません。YouTubeを始めたときなんて、「YouTubeやってんの? ウケる」みたいにバカにされて。
じんじん それが今では「子どもがファンで」「サインください」。
タナカガ そういうふうにしてやろうとやってきたからね。今は思ってないですよ。ただ、悔しさかった経験は忘れないですよね。
じんじん すっごい貧乏だった時期もありました。けっこうちゃんと下積みをしてきたんです(笑)。
タナカガ バイト何個も掛け持ちしていました。
──バイトを辞められたのは?
タナカガ 2年くらい前ですね。撮影して編集して、夕方からバイト行って。YouTubeを始めてから半年くらいはお金が一切入ってこなかったし。
じんじん うわ、懐かしい。「振り込みまだかなー」って毎月言ってた。
タナカガ じんじんはバイトしてへんかったやん。
じんじん コールセンターはやってたよ! サボってばかりで給料が全然なかったけど(笑)。
タナカガ ほんっとに仕事行かないんですよ!
──それでどうやって食っていたんですか(笑)。
じんじん タナカガからYouTubeの収益を前借りしてた(笑)。
タナカガ 私がじんじんを雇っているわけやないのにね。しかも、YouTubeを始めてちょっとしたらバイトも辞めてしまって。「絶対返してな」って言いながら貸していました(笑)。
じんじん あったあった。エモいなあ。インタビューでこんなエモい気持ちになるとは思わなかった。
──このインタビュー時点では登録者数が170万人を超え(2021年7月)、お互いにアパレルブランドも始めました。もう「見返してやる」って時期でもなくなってきたと思うんですが、今後の目標は?
タナカガ とりあえず、今年中に200万人いきたいとは話しています。いつか歳をとったらっていう、その先は個々でまったく別の将来を考えていますね。
──タナカガさんは以前から「将来の夢は主婦」と公言されていて。
タナカガ それは今も夢です。だけど、ちょっと意識は変わってきました。前は結婚したら仕事を辞めて家庭に入りたいと思っていたんですけど、最近はアパレルやコスメのブランド(GAB GAB)を始めたので、表に出なくてもいいなら結婚しても仕事を続けたいと思うようになってきました。
──そもそも、どうして主婦にあこがれるように?
タナカガ それこそ育ってきた家庭が平凡じゃなかったからだと思います。母子家庭で弟が3人いてるんですよ。毎日ごたごたしていたから、平和な暮らしにあこがれているんです。ほんと平和に暮らしたい。表に出ないなら仕事したいっていうのも、私は結局、高校生のときから数に囚われた生活をしてきたんですよね。動画の再生数とかSNSのフォロワー数とか。それを結婚、出産してからも続けるのかって考えると、ツライなって思います。
──みんなが趣味でやっているSNSも、ずっと仕事としてやってきたわけですからね。
タナカガ 趣味でやる分にはいいと思うんですよ。フォロワーなんて20人くらいでいいんです。それで子どもと一緒に犬の散歩している動画とか載せたい(笑)。
──じんじんさんは?
じんじん 正直、僕もまだモヤモヤしていますね。表に出る仕事を辞めるって選択肢はないですけど、ずっとアパレルをやることが夢だったので、現状では自分のブランド(JINCL)を大きくしていきたい思いが強いっていうか。
──ずっとYouTuberとしてやっていくわけでは……。
じんじん ではないのかな。
タナカガ やり始めた頃から一生の仕事やと思ってないですから。
──じゃあ、YouTuberはゴールっていうより、ステップアップのための手段だと。
タナカガ そうですね。私たちはYouTubeを通じて自分たちを知ってもらいたい、それをきっかけにやりたいことにつなげようってタイプなので。でも、それはYouTubeで一生食べていける自信がないからでもあって。今トップYouTuberって言われている人たちは、これをずっと続けていっているからすごいと思うんですよね。
──それこそヒカキンさんとか。
タナカガ そうですね。めっちゃ尊敬します。どうしても「突然YouTubeがなくなったらどうしよう」って不安が常にあるので、そこまで身を委ねられない。それにYouTubeがなくならんくても、飽きられて再生数が落ちたら食べていけないじゃないですか。
じんじん 時代は変わっていくし、ほかに何人もYouTuberはいますから。その不安はずっとあります。
──それも10代からSNSで活動してきたからこそなんでしょうね。
タナカガ 自分でも鬱陶しいくらい、その感覚は強いですね。
──では、もし卒業するときがくるとして、そのときパパラビーズは二人にとってどういうものになるのでしょうか?
タナカガ えーっ、多分、青春の一ページかな。
──じゃあ、今は青春なんですね。
タナカガ はい。生活の一部でありながら、部活動みたいな感じです。いつか自分の子どもに、「ママも昔はYouTuberで有名やったんやで」と話すくらいになりたい。それで「ママがそんなわけないやん」って否定されたい(笑)。
じんじん 「ほんまや。証拠を見せたるわ」って(笑)。
タナカガ 絶対見せへん。
じんじん いやー、これだけ動画を投稿していたら、いつか子どもが勝手に見つけると思うよ。でも、そのときに恥ずかしいって言いながら一緒に観るような人生もいいなって、最近考えるようになりました。だから、やっぱり今は青春の真っ只中なんですよね。
インタビュー全編は本誌をご覧ください。
ボケ担当のじんじん(1994年12月生まれ)と、ツッコミ担当のタナカガ(1999年2月生まれ)の二人組YouTuber。2018年2月の活動開始以来、数々の流行語を生み出したテンポの良いトークが人気となる。チャンネル登録者数184万人(2023年5月20日時点)。著書に『普通は前世においてきた』(KADOKAWA)。じんじんはアパレルブランド「JINCL」、タナカガはアパレルブランド「GAB GAB」、コスメブランド「GAB ME」をプロデュースしている。