2022年5月12日発売「my HERO vol.03」より引用
【平成フラミンゴ】my HERO vol.03 ~ YouTuberの関係性 ~
──お二人は小学生の頃からの幼なじみだそうですが、子どもの頃はどんなふうに過ごしていたんですか?
NICO 出会ったのは小学校1年生だったんですけど、あんまり覚えていなくて。最近実家でビデオを見返したら、入学式の時に二人で手をつないで入場行進していてびっくりしました。
RIHO 席も隣で、仲が良かったよね。ドッジボールとか氷鬼をやったのは覚えてるな。中学生になると部活も一緒で、バレー部でした。
NICO あ、中学生の時は一日中プリ(プリクラ)撮ってたじゃん。
RIHO 撮ってたね〜。毎日変わり映えしないジャージ姿で。
NICO なんか、どこかに行って何かをするっていうんじゃなくて、RIHOの家の前のちょっとした階段にとりあえず集まって、お菓子食べながらとりとめもないことをおしゃべりしていたという感じでしたね。高校で学校が分かれて疎遠になったんですけど、Twitterがつながっていたので大学の時にふと思い立って連絡し、「会いたくね?」みたいな感じで再会。だから、3年くらいまともに遊んでなかったのか。
RICO うん。でも久々に会った時、まるで昨日の続きのような感じがしたんですよね。たまたま大雪が降っていた日で、二人で巨大な雪だるまを作りました。
──雪だるま!?
NICO そう、たぶん普通の部屋には入りきらないくらい大きな雪だるまを、21歳の女二人で(笑)。それが再会の思い出です。
RIHO それからはもう、毎日一緒にいました。私は一人暮らしをしてたんですけど、その家にこの人が転がり込んできて。
NICO だって友達の一人暮らしの家っていったらもう、天国みたいなもんじゃないですか。私はその時付き合ってる彼氏がいたんですけど、彼氏の家とRIHOの家を行き来する日々でした。二人でスケジュールも合わせたんだよね?
RIHO そう、生活リズムを同じにしよう、って。一緒にいる時間を確保するために同じラーメン屋でバイトして、スケジュールをお互いに把握できるようにしました。
NICO そうすればいっぱい会えるじゃん、って。
──仲が良すぎる! そんなに一緒にいて、嫌になっちゃうことはなかったんですか?
RIHO なかったですね。NICOが大学を卒業したら茨城県に配属されて遠距離になっちゃったんですけど、私は免許取って1カ月くらいだったのに、地元の横浜から大きい車を運転して果敢に会いに行きました。
NICO 命懸けで会いに来てくれたよね。その後、私が愛知県に配属されてさらに距離が離れて、さすがに気軽に会いに行き来はできなかったものの、ちょこちょこ連絡は取っていました。そうこうしているうちに、私は女優になるという小さい頃からの夢が諦めきれなくて、仕事を辞めることにしたんです。当時24歳だったので、女優を目指すには遅いって分かってたし、職場の人にも「女優になりたいから仕事辞めます」なんて言ったら引かれると思ったから、誰にも相談せずに辞めました。そしたら、たまたまそのタイミングでRIHOから電話がかかってきて。
RIHO 本当にたまたまでした。ちょうど居酒屋で友達を待ってて、暇だから電話してみた、みたいな。
NICO それで、「実は女優を目指そうと思っていまして……会社辞めたんだよね」と話したんです。RIHOのキャラ的にふざけて「はにゃ?」と言うくらいかと思ったら、「あんたカッケェよ」「あんたなら絶対にできる」って言ってくれて。
RIHO とにかくその決断がすごいなと思って。24、25歳って、何かを諦めがちな年齢じゃないですか。でも、そこから芸能の世界を目指そうっていうのは本当にすごい。
──図らずもRIHOさんに背中を押してもらった形になったんですね。そこからコンビ結成に至るまでには、どんな道のりがあったんですか?
NICO 私は東京に戻って芸能養成所に1年間通ったんですが、やっぱりこの年齢でゼロから女優をやっていくのは厳しいということを再認識して、まずはSNSで知名度を上げよう、と思ったんです。私は若くもないしそんなに可愛くもない、何で勝負ができるかなと考えて、当時TikTokで流行っていた「あるある動画」(※1)をやろうと思いついて。それでRIHOに連絡して、「あるある動画」の相手役になってくれないか、とお願いしました。
RIHO その時私は、ちょうど仕事を辞めたタイミングでした。それまで会社員をしてたんですけど仕事を変えたくて、1年間WEBデザインを学ぶスクールに通おうと思ってたんです。だから、そこに通いながら、手伝いくらいだったらできるよ、って。
──まずはNICOさんのお手伝いという感覚だったんですね。
RIHO そうです。YouTuberになろうなんて気持ちは全然なかった。
NICO でも、TikTokで投稿を重ねるにつれてだんだん再生回数が伸びてたので、これはYouTubeをやった方がいいんじゃないかと……。実は、今の事務所の社長がRIHOと同じ高校、副社長が私と同じ大学という縁もあって、当時いろいろ話を聞いてもらっていたんですけど、「じゃあYouTuberとしてうちに来れば?」と言ってくれたので、RIHOに相談したんです。一緒にやらないかって。
──いよいよコンビ結成ですか。
RIHO いや、そんなにすんなりとはいきませんでした。私は、女優になりたいとか表に立ちたいとか、そういう夢はまったくなかったし、年齢的にももう20代後半で、やっぱり安定した仕事の方がいいんじゃないかと思っていました。NICOのことは応援していたけど、いざ自分もやるとなったら怖かった。親にも相談してかなり話し合いました。でも、そんな悩みを吹き飛ばしてしまうくらい運命的なことがあって。ある夜バイト帰りにNICOと歩いていて、「どうしようかねぇ」と話してたんですが……。
NICO 「バクチの世界に行くことになっちゃうからねぇ」と、二人でもんもんとしていて……。
RIHO それで、なんとなく空を見たら、流れ星がシュッて流れたんです。私はハッとなって、隣のNICOを見たら。
NICO 私も「見た、今の!?」って言って。別にそんな星がよく見えるような場所じゃないんですよ。なのに、二人一緒に流れ星見ちゃって、「星が応援してくれるんだったらやってみるのもアリじゃない?」と、俄然「一緒にやろう!」という流れになって。
──すごい、ドラマティック。そうして幼なじみの大親友であるだけでなく、ビジネスパートナーにもなったわけですが、コンビとして活動を始めてから発見したお互いの新しい一面はありますか?
RIHO 編集がうまい。
NICO あんたの方がうまいよ!
RIHO まあ、私は典型的なO型で、NICOは典型的なA型なんですけど、それがいいバランスなのかもしれない、とは思います。
NICO あ〜、それはあるね。私はA型の悪い部分が出ちゃうと、完璧主義になっちゃう。例えば、テロップのサイズがちょっと大きいかなというだけでも、すごく気になってこだわってしまうことがある。お互い同じタイプだったらだいぶしんどいよね。
RIHO 私は大雑把で面倒くさがりなので、相手が同じタイプだったら絶対うまくいってないですよ。NICOがちゃんとしたレベルまで引き上げてくれるんです。
NICO 私が真似できないなって思うのは、RIHOの人から好かれやすくてすぐ仲良くなれるところ。私、相手が「大人の人」「先輩」ってなるとかしこまっちゃうから。
RIHO 私は、NICOのあんまり弱いところ見せないところがすごいって思うかな。いつも前向きで、あんまり落ち込まないもんね。私はわりとネガティブに考えて落ち込んじゃうけど、あなたは「その時間がもったいない」っていう考え方でしょ? 心が強いなあ、と思います。
NICO 面白さは絶対に勝てないって思ってない? お互いに。
RIHO それは思う。
NICO だってもう20年以上一緒にいるのに、まだお互いを笑わせることができるってすごくないですか? いまだに全く想像もつかないことを言ってきたりする。RIHOは私と「面白い」のタイプが違うんです。私はマシンガンタイプで、とにかくいっぱいボケるんですよ。でもRIHOはとっておきのボケを「ドーン!」とぶちかますバズーカタイプ。
RIHO 私はマシンガンの方が羨ましいけどね。
── YouTuberとして活動するようになって、一緒に過ごす時間がますます長くなったのに、それでも仲の良さが変わらないって、すごいことだなと思うんです。何か秘訣や約束事はありますか?
NICO 「きん○まタイム」ですね。
RIHO ちょっとそれ、記事にできないよ(笑)。
── (笑)伏せ字にしますから、大丈夫です。どういうことでしょう?
NICO やっぱり忙しいから、編集に追われて二日寝てないとか、あの案件が何日まででヤバいとか、ストレスが溜まってきちゃうことはあるんです。でもうちらは「二人が楽しい」っていうことを大事にしたいから、ストレスを溜め込まないように、ヤバいと思ったら「きん○まタイム」ってサインを出すようにしてて。
RIHO 「ちょっときん○まタイム取ります」って感じでね。
NICO つまり、お互いの考えていることを確認したり、今の気持ちを整理するための話し合いの時間が欲しい、っていうことなんだけど、「ちょっと話があるんだけど」って言い出したら構えちゃうじゃないですか。気を使わせたくないし、堅苦しく言い出して「YouTubeの活動自体が嫌になっちゃったのかな」とか勘違いをさせたくないし。
RIHO 「きん○まタイム」って言われたら笑っちゃうから、構えようがないですよね。
──言う方も言われた方も、いろいろどうでも良くなっちゃいそうです(笑)。すごい発明ですけど、どうやってこれを作り出したんですか?
NICO どうしたんだっけ……私たち、やっぱり仲がいいからこそ相手に気を使うこともあって、素直な気持ちを表明するのはけっこう苦手だったんですけど、でも、コンビでYouTubeをやっていくうちに、正直な思いは絶対に伝え合っていった方がいいよねという話になって。「お話タイム」にしようか、という案も出たんですけど、それもなんか堅いよな〜と。
RIHO じゃあ「きん○まタイム」でいいんじゃない、と、このワードを思いついて。まあ、「ストレス」とか「もやもや」みたいなものを「きん○ま」っていうしょうもない言葉に変換してるんですけど、「なんかきん○ま溜まってない?」とか「ちょっときん○まいいですか!」とか、いろいろ応用させて使ってます。この制度を導入したら夫婦仲だって解決するかもしれない。だって笑っちゃって、けんかする気なくすと思うもん(笑)。
──こんなふうに仲の良いお二人の姿が見たい、という人が多いから、平成フラミンゴは今、爆発的な人気を得ているのかもしれません。
NICO あぁ、そうかもしれませんね。私たちの動画って、視聴者の中で一番多い層が18歳〜24歳で、自分たちの世代よりはやや下なんですよ。しかも、小学生もけっこう観てくれているみたいで。テロップの漢字とか分かるのかな?
RIHO 動きとかが面白いんじゃない? あと、どんな年齢層が観ても楽しめるような言葉遣いとか、テロップの出し方とかは意識しています。
NICO そうだよね、いきすぎた下ネタとかは言わないもんね。あと、中学生や高校生のファンからDMでよくもらうのが、「私たちも平成フラミンゴみたいな大人になりたい」「二人と友達になりたい」っていう内容のものです。
RIHO くだらない話をしてふざけ合う、学校の休み時間みたいな雰囲気を感じてくれてるのかな。友達にこういうやつ一人は絶対いるよね、みたいな。それが大人になったら私たちみたいになるのかもしれない……っていう、身近な存在でありながら憧れにつながっているのかな。
NICO 私たちは「ザ・カリスマ」「ザ・インフルエンサー」ってタイプじゃないし、そのへんにいそうな感じがいんでしょうね。
──これから先、結婚したり、子どもができたりしても二人の関係性は変わらないと思いますか?
NICO 今みたいに頻繁に会うことはできなくなっちゃうかもしれないですよね。そもそも、夫になってくれる人は、私たち二人の関係を理解して、受け入れてくれる覚悟を持った人じゃないと難しい気がする。
RIHO 二人とまとめて結婚するかのごとく(笑)。二人ともそれぞれ結婚したとして、子どもが生まれたら家族ぐるみで付き合いたいですね。そして、子ども同士が成長して、また私たちみたいな関係になる。そんで、私たちはゆくゆくはおばあちゃんYouTuberになってね。
NICO 入れ歯を紹介する案件をやったりしているかも。「こっちの入れ歯はねぇ」「あっちの方がいいねえ」とか言って。
──おばあちゃんになっても二人一緒にいる未来は想像できますか?
NICO うん、できます。変わらずこのまま遊んでるんだろうなぁ、と。
RIHO 巣鴨とかでね。
NICO 小中学生の頃にも何度かけんかもしたし、それこそ高校で一回疎遠にもなって、就職して距離も離れたのに、何回もまたつながって、どんどん仲良くなってるんです。なんかもう、離れようと思っても離れさせてくれないのかな?
RIHO 神が?
NICO 神が(笑)。
──今、改めて相方に伝えたい思いはありますか?
NICO え!? なんだろう……。
RIHO 私はもう決まってます。
NICO え、何。
RIHO 私をこんな楽しい世界に、
NICO やだ、待って!
RIHO 私をこんな楽しい世界に連れてきてくれてありがとうって。やっぱり楽しいです。NICOがいなかったら、私はYouTuberなんて絶対になってなかった。私はあんた以外じゃなかったら多分OKはしなかった。本当にありがとう。
NICO ほら、ツンデレ。もう、そういうのが病みつき!
RIHO あははは(笑)。
NICO なかなかねぇ、二人でこんなこと言い合うこともないから……あ、言ってるか!
RIHO 言ってるよ! いつも甘い言葉ささやき合ってるよ。
NICO 言ってるな、愛の言葉は。「ありがとう」とか「あんたマジで最高」とか。改めて、なんだろう、それこそ、私はRIHOのいない世界は考えられないな、って。
RIHO この人、私のいない世界を想像して泣いちゃうんですよ。
NICO うん、死んだ時のこととか考えるともう……。RIHOがいない世界は考えられないので、どこかに消えてしまっても、探し出すよ、逃さないよっていう(笑)。
RIHO やだ怖い(笑)。でも、中学生の頃の私たちに教えてあげたいね。あんたたちは将来、こうやってインタビュー受けて、雑誌の表紙になるんだよって。
NICO 教えてあげたい。びっくりするだろうね。
インタビュー全編は本誌をご覧ください。
※1:あるある動画……ありがちな状況や人の行動などで、思わず共感してしまう内容をネタにした動画。TikTokでは「#あるある動画」「#あるある」で投稿され一大ジャンルとして定着。
小学生からの幼なじみのNICO、RIHOによるYouTuberコンビ。TikTokの「あるある動画」が注目を浴び2020年4月の投稿より「平成フラミンゴ」のYouTubeチャンネルをスタートさせる。勢いのあるトークとドッキリ企画などが人気を集め、チャンネル登録者数は同年8月で50万人、9月に100万人、12月に200万人を突破する快進撃を見せる。「アラサー独身コンビ」と自称しながらティーンからの支持が厚く、2022年2月発表のリサーチ(アイ・エヌ・ジー)では、「高校生が選ぶ今好きなYouTubeチャンネル」で1位に選出されている。