2022年5月12日発売「my HERO vol.03」より引用
【ジュキヤ feat.中町JP】my HERO vol.03 ~ YouTuberの関係性 ~
──ジュキヤさんは学校に通っていた頃、どんな子どもでしたか?
ジュキヤ 中学生の時は学級委員で、クラスのまとめ役みたいな感じだったんですよ。こんなん言うのちょっと恥ずかしいんですけど、自主的に立候補して。目立つタイプで、ガンガンやっていましたね。
──YouTuberとしての刺激的な目立ち方と違って、意外な感じもします。
ジュキヤ 動画とはギャップがあるかもしれないですね。中学校で、「1年生を迎える会」みたいな行事があって、3年生の時は同じサッカー部のメンバーでダンスを練習して、当時はやっていたEXILEの『Rising Sun』を踊ったり。めっちゃ練習したんですよ。
──そんな中で、Twitterに投稿した動画でバズを起こし、2017年にはYouTubeチャンネルを開設。元々何かを表現したいという思いはあったのでしょうか?
ジュキヤ 中学2年生の時に、「はじめしゃちょーの質問コーナー(※1)」という動画を観て、おもろいやん、と思って、YouTubeを観るようになったんですよ。特に、はじめしゃちょーが好きでしたね。それで、高校生の時にYouTubeチャンネルを作って、内輪ノリの動画を1〜2本アップしてみたんですけど、それが案外広まっちゃって、先生に「こういうことはやめなさい」と言われて。「俺はどうしてもやりたい!」と食い下がって、一回停学になったんですよ(笑)。どうしてもYouTubeはダメだと言うので、「じゃあTwitterはやらせてください」と。
──それがバズにつながったんですね。
ジュキヤ 大学に入ったら本格的にYouTubeを始めようと頭を切り替えたんですけど、それまでにある程度の知名度が欲しいじゃないですか。それでTwitterを始めたら、投稿した動画がバズって。基本的に文句を言っていただけなんですけどね。恋愛映画の予告に文句を言う動画を出したら「いいね」が10万を超えて、バズらせるってめっちゃ簡単だなと思いました(笑)。そのおかげで、YouTubeを始めてすぐに登録者が10万人を超えたんですけど、そこからはゆっくりですね。今のコムドット(※2)とか、ばんばんざい(※3)みたいな激バズりはしていないです。
──それでも、瞬く間に多くのファンを獲得していったという印象です。“YouTuber・ジュキヤ”の代名詞と言えば「街頭インタビュー」企画。今もブレずに続いていて、再生回数も非常に高いアベレージを記録していますが、そもそもどんなきっかけで生まれたのでしょうか?
ジュキヤ インタビューを始めたのは、チャンネル登録者数が50〜60万人くらいの時ですね。僕、結構、運動をしながらネタを考えるんですよ。よく公園でランニングをしたり、自転車で工場地帯の開けたところを走ったりしていたんですけど、そうするといろんな人を見かけるんですよね。犬の散歩をしている人もいれば、カップルでいちゃいちゃしている人もいるし、その中で、本当に何をしているんだか分からない謎の人もいて。めちゃくちゃ気になるんだけど、なかなか「何してるんですか?」なんて聞けないじゃないですか。それで、動画の企画にすればいいじゃん、と。
──その謎を解き明かしたいという好奇心だったんですね。
ジュキヤ (真剣な表情で)ずっと『名探偵コナン』が好きで、何かあったら謎を解き明かしたいと思っちゃうんですよ。例えば、数字を数える時、いち、に、さん、し、ご、ろく、【しち】、はち、きゅう……って言うじゃないですか。でも、逆からだと、きゅう、はち、【なな】、ろく、ご……って、「7」の読み方が変わるんですよね。昨日はその謎が気になって、眠れませんでした。
──確かに気になりますね(笑)。ただ、全く知らない人が気になることと、実際に行動に移すことにはギャップがあって、臆せず声をかけられる人はきっと少ないと思います。
ジュキヤ (引き続き真剣な表情で)カメラが回ると、もう一人の俺が出てくるっていうか……。真面目な話、撮影が終わった後はほぼ記憶がなくて、編集する時に「こんな人いたな〜」みたいに思い出すことがよくあるんですよね。全部を忘れるわけじゃないんですけど、やっぱりMCとしての僕が話を聞いている、という感覚がちょっとあります。
──アドレナリンが出ているような状態なのかもしれないですね。毎回、面白い人たちがインタビューに応えていて、撮れ高がすごいなと思います。面白い動画にするために、苦労することはありますか?
ジュキヤ うーん、面白い人は、探さなくても寄ってきますからね。面白い人のところには面白い人が寄ってくる、というのはたぶん本当で、そんなにインタビューしていて困ったことはないというか。ただ、最初の頃はインタビューしようとして断られたことも、結構ありましたね。それでも自分からガツガツいこう、と思っていたから、結構危ない目に遭ったことも……。
──と言いますと……?
ジュキヤ 例えば、新宿でインタビューをしている時、いきなり胸ぐらをつかまれて、「ここで何してるんだ」とすごまれたことがあって。髪の毛もつかまれて本当に危なかったので、昔、空手で習った掌底(手のひらの手首に近い部分を使う打撃技)を入れて逃げてきました。正当防衛なので、ちゃんと書いてくださいね。ケンカ強えぇんだなって思われたいので(笑)。この話、誰にも言ってなかったから、話せてちょっとうれしいな。
──刺激的な内容の動画も多いので、YouTuberとしての活動についてご家族がどんな反応をされているのか、というのも気になります。
ジュキヤ 大学に入って3カ月で、「学校を辞めてYouTubeに集中したい」ということを親に伝えた時は、特に父親にものすごく反対されましたね。「1カ月間、よく考えろ」と言われて。でも、自分の中では決まっていたから、1カ月後にそのまま「やっぱりやる」と伝えました。その時はもう殴り合いになって、もちろん掌底で認めさせましたよ(笑)。
──得意の掌底で(笑)。
ジュキヤ なんとか許してもらえましたね。動画のことに関してはそんなに親と連絡は取らないです。
──活動内容が尖っているので、アンチからコメントが来ることもあると思いますが、ジュキヤさんはネガティブな声をどう捉えていますか?
ジュキヤ 心の中で発散させておしまいです(笑)。というか、元々アンチコメントが気になったことはなくて、目にも入らないですね。炎上するような問題があれば別ですけど、ただ「つまらない」と書き込むために時間を使っている人たちって、本当にかわいそうだなと思うので。だって、友達がたくさんいて、学校や会社が終わったら遊びに行って、疲れて帰ってきて、飯を食って風呂に入って、次の日もまた学校や会社に行って……って。自分の生活が充実していたら、人の悪口なんて言っている時間はないじゃないですか。ずっとケータイばっかり見て、悪口ばっかり書いて、かわいそう! としか思わないですね。
──なるほど。さて、チャンネル登録者数も再生回数もどんどん伸びていく中で、ジュキヤさんには数字にこだわっているイメージがなく、自分が面白いと思うものを突き詰めているように感じます。YouTuberとして活動する上で、大事にしているのはどんなことですか?
ジュキヤ 真剣に話すのは恥ずかしいなあ。でも、とにかく面白い動画、笑える動画を作ることかな。1万円企画(※4)とか、ASMR(※5)とか、そういうことはまったくやる気がなくて、クスッと笑えるものより、爆笑がとれる動画を目指していますね。YouTuberのファンは中高生の女の子が多くて、何をしても「かわいい」とか「この動画好き」って言ってくれるんですよ。コメント欄で、「○分○秒の○○くん、優しい」とか、“優しさ探し”みたいなこともしてくれて。でも、そんなのいらないんですよ。むしろ、たまたま僕の動画を観た40〜50代のおじさんが笑ってくれる方がうれしいというか。
──ファンに甘えたくないと。
ジュキヤ 何をやっても受け入れられると思っていたら、しょうもない動画になっていくので。街に出ても、おじさんに声をかけられるとうれしいんですよ。
──私も40歳のおじさんですが、笑わせてもらっています(笑)。プライベートでもカメラが回っている状態で、ストレスを感じることもあると思うのですが、プライベートと仕事のバランスはどう考えていますか? 時には気持ちを切り替えて、遊ぶことを大事にしているクリエイターもいると思うのですが。
ジュキヤ 撮影自体が遊びみたいなものなので。今回のインタビューみたいに、たくさんの大人がいると「仕事をしているな」と思うんですけど、普段は大人がいないし、友達同士で集まって、ふざけて、飯を食ってサウナに行って帰る、という毎日なんですよ。こうしたちゃんとした仕事なんて半年に一回あるかどうかなので、毎日が休日みたいな感じです。
──仕事という意識にしない、というところもありそうですね。
ジュキヤ そうですね。あくまで遊びを動画に撮って、お金をもらっているというか。正直、しんどそうな顔して毎日仕事してる人はかわいそうだな、と思っちゃう時もありますね。
──最後に、ジュキヤさんは「目標を立てない」と公言していますが、今後YouTubeでこんなことをしたい、という思いはありますか?
ジュキヤ サブチャンネルの「ジュキぱっぱ」をもっと面白くするために、僕も、出演するメンバーもより大きくなっていきたい、というのはありますね。例えば、駆け出しのYouTuberが同じ企画をやっても、ただふざけてしょうもないことをやってるな、で終わるんですよ。でも、名前が知られているYouTubeチャンネルの影響力が大きい人たちがしょうもないことをやっていると、本当にバカバカしくて面白い。例えば、若手の芸人さんがローション相撲をやるより、大御所の芸人さんがやっている方が、そのギャップに笑っちゃいますよね。
──くだらないことをするために大きくなる。「ジュキぱっぱ」を面白くするためには、メインチャンネルも大事になるということですね。
ジュキヤ そうですね。一番やりたいのは、実はサブチャンネルっていう(笑)。メインチャンネルをデカい広告塔にして、「ジュキぱっぱ」に来てもらう、ということを考えています。でもメインにしろサブにしろ、基本的に人と会ってしゃべるのが楽しいんで。今の動画の感じを変わらずに続けていくと思います。
インタビュー全編は本誌をご覧ください。
※1:YouTuber・はじめしゃちょーの動画企画。「おそめしゃちょーの質問コーナー」「バナナなはじめしゃちょーの質問コーナー」など多数ある。
※2:5人組のYouTuber。YouTubeチャンネルの登録者数は335万人(2022年4月時点)。
※3:男性1人、女性2人の3人組YouTuber。YouTubeチャンネルの登録者数は205万人(2022年4月時点)。
※4:1万円すべて使い切る、または1万円以内で、買い物や食事などを行う企画。設定金額に達するまで終わらないというルールを設けられていることが多い。
※5:「Autonomous Sensory Meridian Response」の略称。人の聴覚や視覚が刺激され、心地よくなったり、ゾクゾクしたりする動画を指す。
1999年、愛知県出身。2017年にYouTubeに参入し、メインチャンネル「ジュキヤ/Jukiya」、サブチャンネル「ジュキぱっぱ」の合計登録者数が417万人を超える(2023年5月時点)。2018年ごろより始めた街頭インタビュー動画が人気を博している。2021年には、アパレルブランド「mammal」のプロデュースも開始。