2021年12月10日発売「my HERO vol.02」より引用
【YouTuberの戦略】my HERO vol.02 ~ BEHIND THE SCENE ~
──こうやって制服着て街を歩いてると、女子高生にしか見えないですね。
UraN もう24歳なんですけどね(笑)。ありがたいことに、私たちを初めて見る方には「制服=学生」って思ってもらえることが多くて。よくよくプロフィールを見ると「え!?」みたいな(笑)。
エア けっこう年いってる、みたいな(笑)。
UraN でも、「なんかわちゃわちゃしてる学生がYouTubeやってるな」ぐらいで動画観始めてもらうのが、うちら的にはちょうどいいかなって。「学生生活が終わっても青春してる感じ」をYouTubeで見せていきたいなって思っているんで。
エア あ、でも、浅見はYouTube始めた時、リアルJKだった。
浅見 17歳だった。
UraN そうそう、メンバーにJKいるし、とりあえず制服着てみよっか、みたいな流れになったんですよ。当時、YouTuberで制服を衣装として着てる人はいなかったので、印象付けになるかな、と思って。浅見が高校を卒業するタイミングで「制服どうするか会議」を開いたんですけど、「くれまぐ=制服」っていうイメージも定着し始めてたし、TikTokを観て「この子たち同じ学校じゃないのに、なんでこんなに仲良いの?」ってYouTubeに飛んできてくれる子もいるから、これはもう着続けるしかないねって。
浅見 でもリアルにJKではないし、何か言い方作らないとマズいよねっていうことで、「#期限切れJK」。これは多分、めいが最初に言った。
——「まぐねっこ」と呼ばれるファンは、女子中高生が圧倒的に多いんですよね?
UraN そうですね、8割から9割は。でも、私たちと同じ20代も多くて。高校を卒業すると「私も#期限切れJKになりました」って報告してくれたり、イベントで制服コスプレしてくれたり。「くれまぐ観てると一緒に遊んでる気分になれてうれしい」って。
エア ホント、それが一番!
——コロナ禍で青春の思い出が作りにくくなっていますしね。
浅見 「うらやましい」ってコメントがホントにたくさん来るので、うちらの動画でいろんなことを疑似体験してもらえたらいいなって。
UraN 企画考える時も、動画観ながら一緒にやってる気分になれたり、学生が真似しやすい内容の動画にしようっていうのは意識してます。一緒に1時間勉強する動画とか、おうち夏祭りとか。あと、「そこまで仲良いの、すごい!」とか「三人の関係に憧れる!」ってコメントもすごく多いです。リアルな学校の女子グループって、いろいろと難しいじゃないですか。そういうのも関係してるのかなって。
エア 最近、結構インスタのDMとかでも悩み相談が来るんですよ。「学校行きたくない」とか「嫌なことがあって」とか。でも、「くれまぐの動画観て元気出ました!」って言ってもらえると、うちらのやってることって、役に立ってるんだなって思う。
UraN やっぱり吐き出せる場所がない子は多いんだなって感じます。親にも学校の先生にも上司にも言えないとか。いじめとかもそうじゃないですか。私もいじめを受けていたことがあるので「私はこういうふうにやってきたよ」とかオープンに話をするようにしています。話を聞いてもらえるだけで救われることってあると思うんで。あと、私は雑誌でプラスサイズモデル(※1)をやらせていただいているので、体型のこととか服選びの相談なんかも結構来ますね。その辺もうまく企画に絡めながら面白くやっていきたいなって。
──生理の貧困を救うチャリティーライブ(※2)も行っていますね。
エア 生理はもう女の子のリアルなんで。私たちも動画で「マジ生理痛つらい」みたいなことをポロッと言っちゃうし。そういう本音をそのまま出したら、意外と反応が多かったので、取り組みとしてやっていこうって。
UraN 生理に関しては別に恥ずかしいことでもネガティブなことでも全然ないので、できるだけ明るく楽しくやりたいんですよね。だから、48時間生配信でバラエティっぽくして、女子だけじゃなくて男子にも気軽に観てもらえるようにしました。うちらのチャンネルを観て女子のことをいろいろ知ってもらえたらいいなって。
──三人は同じ事務所に所属して、ほぼ初対面の状態からトリオを組んだんですよね? そのリアルな成長ストーリーも同世代の共感を呼ぶのかなと思いました。
UraN 事務所が学校だとすると、まさにうちらは同級生ですね。でも、入り方は全然違って……。浅見はスカウトだよね?
浅見 うん。渋谷で。当時まだ高校生で、部活も入ってなくて毎日暇だったんで……まあ、暇つぶしで入ってみようかなって。
UraN 動機が安易(笑)。エアもなかなか安易ですよ。
エア オーディション会場がたまたま大阪だったんですよ。その頃、大阪に住んでる彼氏と遠距離(恋愛)してたんで、「彼氏に会いに行ける!」って思って(笑)。親の許可も取りやすいじゃないですか。終わった後、速攻で“ユニバ”デートに行きました(小声)。
UraN 私は真面目ですよ! ちっちゃい頃から芸能界に憧れていて、高校時代は福島から週末深夜バスで東京に通ってレッスンとか受けていました。卒業後はバイトしながらオーディション受けまくって、やっとたどり着いたのがこの事務所。エアも私も事務所のオーディション自体は落ちたんですけど、所属しないかと声をかけてもらって。そしたら、いきなりマネージャーが「YouTubeやるで!」って。
──なぜ、この三人がメンバーに?
UraN 「三人の化学反応が見てみたい」みたいな、よく分からないLINEがマネージャーさんから送られてきました(笑)。でも、ほぼ初対面なんでお互いのキャラが分からなすぎて、化学反応どころじゃなかったですよ。エアなんか、最初はすごいふわふわした感じで。
エア アイドルっぽい感じでした、私は。
UraN 自分で言うな(笑)。最初の頃は私が動画のシナリオを作ってオチまで考えてたんですけど、やっていくにつれて、「あ、エアはド天然なんだな」「浅見は冷静で毒舌なんだな」ってキャラが見えてきて。エアは考え過ぎるとできなくなっちゃうタイプなので「とにかくあなたはやりたいようにやってください」って言って、浅見と二人でどうエアをイジるかを考えて。浅見は最近毒舌すぎてコンプライアンス的にピー音入れることが多いから、気を付けた方がいいよ。
浅見 うん、気を付ける(棒読み)。
UraN こんなふうに浅見は基本リアクションが薄いんですけど、うちらにはない視点で鋭くツッコんでくれるんですよ。
エア クールで毒舌な浅見と、真ん中でトークを回すUraNと、私は……なんでしょうね、盛り上げ役、といいますか。
UraN いつも盛り上げてくれて、ありがとね(笑)!
──リーダーは決めてないんですか?
浅見 最初にその話になったけど、一人に責任を押し付けちゃうことになりそうだから何事も平等にしてます。
エア みんなで企画立てて、みんなで編集してるよね。
UraN 企画会議はマネージャーさんを含めてやってます。初期の頃は月に1回だったんですけど、今は2週間に1回。これくらいスパンを短くしないとYouTubeのはやりに乗り遅れちゃうんですよ。私が普段からYouTubeを観あさるタイプなので「こういうのやりたい!」って言い出して、二人がそこに意見を出して固めるっていうパターンが多いです。二人は普段、YouTubeほとんど観ないんですよ(笑)。
浅見 なんかYouTube観てると、仕事してる気になっちゃって。あえて観ないようにしてます。
エア 私は動物系ぐらいしか観ないかな。
UraN 参考にならないでしょ(笑)。
エア あ、でもTikTokは観てます。YouTubeではやってる動画の切り取り(ダイジェスト)が載ってるんで。
浅見 私も、うちらのYouTubeに来てるコメントはチェックしてます。
UraN 最近はサムネとタイトルから企画に落とし込む、みたいなこともやります。やっぱり動画で一番最初に目にするのがサムネとタイトルなので、ここを先に決めてしまって、あとはしゃべりで「撮れ高」を作るっていう。ただ、その日のみんなのコンディションもあるし、撮ってみるまでどうなるか分からない(笑)。
浅見 編集は動画ごとに担当を決めて順番で回してますけど、確認は必ず全員でします。「ここの音はこういうのにした方がいい」とか「ちょっとここに画像入れてほしい」とか意見を出し合って。
UraN 初期の動画編集から自然とやっていることなんですけど、しゃべってない人の心情をカッコ付きのテロップで入れるっていうのも私たちのスタイルかな。映像を観ながら「こいつ、こんなこと思ってそう」みたいなのをどんどん打ち込んでくんですよ。たまにテロップだけで会話してたりとかもするんですけど(笑)、それが面白いってみんな言ってくれて。
エア 喋ってない時も飽きさせない。そういうことですね。
UraN かっけえ(笑)。
──これまでに戦略的に一番成功した企画は?
UraN 一番最初にバズったのは「イヤホンガンガン面接」(※3)かな。あれ、いつぐらいだっけ?
浅見 登録者数が10万人いってないくらいの頃。イヤホンガンガン伝言ゲームっていうのが当時YouTubeではやってたんですけど、普通にやっても面白くないから「面接にしたらいいんじゃない?」って。
エア うちら的には試しにやってみよう、くらいのノリだったので、バズってびっくりしました。
UraN 1カ月間で8万人くらい増えたんです。その次が「1週間鬼ごっこ」(※4)かな。
浅見 それまでは三人一緒の撮影しかしてなかったんですけど、初めて各自GoPro持って撮影して。
エア リアルに1週間かけて鬼ごっこやったんで、メンタルもかなり疲れました。
UraN その動画がバズって、1年で40万人くらい登録者が増えたんです。タイミング的にコロナ禍の直前くらいに撮影したんですけど、ギリギリ間に合ってホント良かったなって思います。
──YouTubeのはやりネタにうまく乗っている印象ですが、くれまぐ流の戦略ってあるんですか?
UraN 2、3個のネタが組み合わさってる、みたいなのがうちらの特徴かもしれないですね。例えばYouTubeではやっている「大食い企画」と「1万円企画」と「ウーバー企画」を組み合わせる、とか。1回試しにやってみて、ウケたらそれをまたアレンジして、っていう感じでシリーズ化しています。はやりの「爆買い動画」をやっても、うちらは三人のキャラが全然違うから、私は食べ物、浅見は美容系、エアはなんか変なものを買ってくるんで、自然と幅が出ますね。
──1度の動画で3度おいしい、みたいな。
UraN でも、あんまり狙いすぎない方がバズるかもしれないです。ユルさも、うちらの良さなのかなって。
浅見 「板チョコしか勝たん」(※5)とかね。あれは、板チョコアイスが冷蔵庫にめっちゃ余ってたから、これで大食いでもしようかって感じで、ユルく撮り始めたんです。でも、なんかその日は三人ともすごい調子良くて、めっちゃやりとりが面白くなって、結局「大食い」とかほざきながら、最終的に食べたのは板チョコアイス一人2個(笑)。サムネとかタイトルもすごい地味だけど、内容が面白かったから100万回以上再生されて。
エア あれはめっちゃ面白かった! あと、くれまぐといえば「寿司100貫」(※6)じゃない? 何回かシリーズで撮ってるんですけど、私が好きなのは三人で住む前のやつ。ハプニングがめちゃくちゃあって、面白い。
UraN 私も「100貫動画」は好きで、一人ごはんの時に見ながら食べてます(笑)。
──自分の動画を観ながらごはん食べるんですね(笑)。自分たちでは、くれまぐの強みはなんだと思いますか?
浅見 かわいさと、面白さ。それは最初の頃からファンの子たちがよく言ってくれてて。くれまぐってかわいいのに面白いよねって。「あ、そうなんだ」と思って。
UraN 自由さ、かな。うちらは型にはまるのが合わないというか、自分たちが素で楽しめていれば、それが観ている人にも伝わるかなと思うんです。だから、撮影がどんなに長引いてもいいから、楽しんで撮影しようって決めてます。撮影時間が9時間とかになっちゃうこともあって、「これを30分に編集すんのか〜」と思うと、マジで吐き気がしますけど(笑)。
──素で仲が良いのか、素で楽しんでいるのかという部分を、若年層の視聴者はすごく見ている?
UraN それはある気がします。私たちへの偏見コメントを集めた動画(※7)があったんですけど、「どうせカメラないところではしゃべってないんでしょ」とか「ビジネスでしょ?」とか。
浅見 そういうの、多かったね。ビジネスはヤバいでしょ。
UraN だからもう、とにかく素で楽しんでるんだぞ、っていうのを出していきたいな、と。
──エアさんは、くれまぐの強みはなんだと思います?
エア 個性の塊、ですかね。一人ひとり個性がバラバラなんで、それが組み合わさった時に最強のものができるんじゃないかなって思ってます。
UraN ……なんかさ、一つひとつ軽いんだよね、言葉が(笑)。
──(笑)。でも、三人になった時のバランスとしては、エアさんの「軽さ」がちょうどいい気もします。
エア はい、結局そういうことなんです。
UraN まとめるな(笑)。
──念願の100万人を突破した今の目標は?
UraN うちらは長期の目標だとモチベーションが保てなくなっちゃうので、近々の目標を立てて、達成できたら「よくがんばった!」って褒め合って、また次のステップに行く、みたいな感じでやってきたので……。「これが目標です!」みたいなものはないんですけど、今はとにかく、まぐねっこのみんなに直接会える機会を作りたいです! うちらは月4回以上ライブ配信をやってますけど、やっぱりファンの子にとってはリアルに話せるのが一番うれしいと思うんですよ。オンラインとリアルとを組み合わせて、憧れと親近感の間ぐらいの、絶妙な立ち位置でい続けたいなと思います。
浅見 私は今まで人生の目標とかなくて。ただ今を楽しく生きてます。YouTubeもホントに楽しいから続けてるだけで、芸能活動もあんまり興味ないんです。大学もフル単(位)ですし。だから、YouTubeが楽しめるうちは続けたいし、ちゃんと大学も卒業したい。とりあえず奨学金返済のためにお金ためようって思ってます。
——それもまた、リアルですね。UraNさんとエアさんは東北出身ですが、地元に貢献したい、みたいな気持ちはありますか?
UraN 私はめちゃくちゃあります! 福島放送で週1のレギュラーをいただけて、お母さん、めっちゃ喜んでました。福島の今を広める活動もしていきたいなって思っています。
エア 私も宮城のファンの子が多いことに最近気が付いて、ゆくゆくは何か地元に貢献できたらいいなとは思います。でも、ジャンルは絞らず、いろいろやりたいですね。ジムに通って鍛えているのでスポーツ系のモデルとかも興味があります。
──将来のビジョンも三人それぞれですね。さて、問題はいつまで制服を着続けるか、ですけど。
UraN いやあ、どうなんだろう。正直、制服着てると、自分が思い描いてた20代とかけ離れすぎてて大丈夫かなって思っちゃう時もあるんですよね。
エア 同級生は結婚して子ども2人目とか、ザラにあるもんね。UraNも私も地元がすごい田舎なんですよ。
UraN リアルにJKだった時は、放課後に河川敷で喋るとか、ジャージで海に入るとかしか選択肢がなかったんで、都会の高校生に憧れてて。だから、今こうやって制服着てYouTubeをやってると「JKよりJKしてるじゃん!」って楽しくなっちゃって(笑)。できればこのスタイルでずっとやっていけたらって思うけど……実際に何歳まで着るんだろうな。「もうキツいよ」って言われたら、どうする?
エア そしたら逆に、脱ぎたくねえ(笑)。
浅見 制服でいいよ。私服選ぶの面倒くさいし(笑)。
UraN ……ということで、しばらくは着続けます(笑)!
インタビュー全編は本誌をご覧ください。
※1:UraNは、ぽっちゃり女子向けファッション誌『la farfa』専属モデルを務める。
※2:「女3人で2日間ほぼ寝ずにしゃべり続けた48時間生配信!」収益を生理に悩む女子のために全額寄付し、全国の学校に生理用品をくれまぐが直接届ける取り組みを行った。
※3:正式タイトルは「【受験生必見】イヤホンガンガン面接!これを見ないで何を見る!!」。各自イヤホンで爆音の音楽を聴きながら支離滅裂な面接を繰り広げる動画。
※4:「期限切れJK3人が東京の街中で1週間だまし合い鬼ごっこしてみた」(全7回)では、位置情報アプリを導入した鬼ごっこを1週間に渡って敢行。
※5:正式タイトルは「大量に買い込んだ板チョコアイスを女3人で限界まで食べていく!【期限切れJK】」。3人の掛け合いの面白さでファンにも好評の動画。
※6:「【大食い】お寿司100貫食べきるまで帰れません!!!」はくれまぐ人気シリーズの1つ。
※7:「【偏見集】女3人組YouTuberへの偏見がボロクソでヤバすぎたwwww」というくれまぐへの偏見を集めた動画を作っている。
福島県出身、食いしん坊でぽっちゃり姿が愛らしいUraN(24歳)、宮城出身で天然キャラのエア(24歳)、現役大学生でクール&毒舌な浅見めい(21歳)からなる3人組YouTuber。芸能事務所の同期として、ほぼ初対面の状態で2018年2月にチャンネルを開設。「イヤホンガンガン面接」「リアル鬼ごっこ」などの人気企画で女子中高生を中心に支持を集め、2021年10月、チャンネル登録者数100万人を突破(※2023年5月5日時点で191万人)。SNS総フォロワー数は500万以上を誇る。YouTubeのみならずテレビや雑誌、イベントなど多方面で活躍中。