2023
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05
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26
INTERVIEW
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MUSIC
TikTok
INTERVIEW

imase「“ただバズるだけでは、意味がない” 自分だけの“真新しさ”で音楽を生み出す、若き才能」

取材・文=鎌田幸世

写真=横田達也

スタイリング=RIKU OSHIMA

ヘアメイク=DAISUKE MUKAI

撮影協力=アンセーニュダングル 原宿店

TikTokから突如現れた、岐阜県出身・22歳の新星アーティスト imase。

楽器経験ほぼゼロから楽曲制作を始め、わずか1年でメジャーデビューをつかみ取った。

2022年8月配信の『NIGHT DANCER』はJ-POP史上初となる、韓国配信サイト「MelOn」の総合チャートTOP100入りを果たし、韓国でも一躍人気アーティストに。話題のタイアップ曲を次々と手がけ、初の有観客ライブも即日ソールドアウトさせるなど、目まぐるしい速さで躍進する、若き天才の素顔と思考をのぞいてみた。

2023年5月26日発売「my HERO vol.04」より一部引用

【 imase 】my HERO vol.04 ~ 音楽の可能性 ~

TikTokで音楽投稿を始め、メジャーデビューを果たした新星アーティストimaseを招いたのは、1975年創業の喫茶店。
レトロ感たっぷりのアナログ空間に無邪気な興味を示しつつ、カメラマンの要求に「承知しました」と礼儀正しく答え、軽やかにポーズを決めていく。本人は謙遜するが、場の空気を瞬時に捉えて表現する勘の良さが、モニター越しにも伝わってくる。
「このコーヒーめちゃくちゃおいしいです」と屈託なく笑う22歳の彼に老舗の深みを堪能してもらいつつ、楽曲制作を始めて1年もたたずして“バズる”までの道のりと、今も手探りだという楽曲制作の裏側について、たっぷりと語ってもらった。
古風のあるカフェのカウンターに座るimaseの横顔
my HERO vol.04(imase)

誰しも最初は遊び半分でTikTokに投稿していると思うし、僕もそうでした。

──imaseさんは2020年10月にギターを購入し、2021年春から楽曲制作をスタートして以来、住み慣れた岐阜の実家を拠点としてきましたが、この春、上京したそうですね。どうですか、シティライフ。

imase シティといっても、ちょっと外れなんですけどね(笑)。元々、月に4回くらいのペースで東京と岐阜を行き来していて、その都度、機材運んだりするのも大変だったので、こっちに住んだ方が楽だなと思って引っ越しちゃいました。友達とは離れちゃいましたけど、東京──岐阜間はそこまで遠くないので全然遊べるし、実家や地元へのこだわりはそこまでなかったかもしれないです。もちろん、地元は好きなんですけど、かなり田舎なので、街に出るのに不便な部分もあって。上京して地元の良さがより分かることもあるだろうし、良かったと思ってます。

──撮影中にちらっと話していましたが、小中高とサッカーをやっていたそうですね。音楽に目覚めたのはいつ頃ですか?

imase 小さい頃から歌うのはすごく好きだったんですけど、将来アーティストになりたい、とかは思ったことなくて。聴いていた曲もその当時流行していたJ―POPで、小中学校の頃は湘南乃風さん、GReeeeNさん、高校時代になると、米津玄師さん、RADWIMPSさん、SEKAI NO OWARIさんとかをよく聴いてました。地元近くにカラオケがなかったので、あまり行ったこともないですし、車の中とか自分の部屋で歌うっていう感じでしたね。ライブにも行ったことがなかったですし。

真剣な眼差しで読書をするimase
my HERO vol.04(imase)

──バンドを組んだり、楽器を習ったりした経験もなく?

imase 音楽をやってる人が身近に全然いなかったので、バンドやろうっていう発想にまずならなくて。両親は音楽が好きで、父親がギターを少し弾いていて、一番上の姉がピアノの先生をやっていたんですけど、姉は年が離れているので、僕が幼少期の頃はもう実家を離れていましたし、音楽にすごく触れる環境かというと、そうではなかったですね。曲作りを始めるまでは楽器経験もほぼなくて、今もまだそんなに弾けないです(笑)。

──それがコロナ禍の2020年10月に友達の影響でギターを始め、2021年3月にはTikTokに投稿するために機材を買ってDTM(※1)での楽曲制作を開始された、と。そのあたりから聴く音楽も変わってきたんじゃないですか?

imase 変わりましたね。まず日本のR&B系にハマりだして、VivaOlaさん、iriさん、SIRUPさんとか、あと、洋楽も聴くようになりました。韓国のアーティストさんとかも好きで、DEANさんやDPR LIVEさんとか、洋楽だとブルーノ・マーズさん、ジェレミー・ザッカーさんとかが好きですね。

アンティークの間接照明に囲まれ立ち尽くすimase
my HERO vol.04(imase)

──imaseさんは楽曲制作開始と同時にTikTokへの投稿を始めたんですよね。投稿のきっかけは?

imase 友達に歌入りのオリジナル曲を聴いてもらったら、「TikTokとかに投稿してみるのもいいんじゃない?」みたいな話になって、「あ、じゃあ投稿するわー」って(笑)。

──わりと軽いノリだったんですね(笑)。

imase はい、軽いノリでした(笑)。TikTokって、距離感がすごく近いプラットフォームなんですよね。反応もラフですし、投稿する方もラフで。誰しも最初は遊び半分だと思うし、僕もそうでした。距離感が近いからこそ、手作り感があるというか、作り込まれ過ぎてない楽曲が受け入れられやすいのかなと感じますね。ゼロからの拡散力があって、元々フォロワーがいなくてもおすすめ機能で一気に見てもらえるし、素人がフルコーラスの曲を一気に作るのはハードルが高いけど、ショート尺の曲をラフに上げられるというのもいいところ。当時は家業の手伝いをしていたので、曲や動画を作るのが結構大変だったんですけど、「1週間に1回ぐらいのペースでショートを出そう」って、自分に課してやっている部分がありました。たくさん聴いてもらえる曲もあれば、そうでもないこともあって、いろいろと試行錯誤しながらやっていたんですけど、2021年10月に投稿した『Have a nice day』という曲がバズって。その直後に投稿した『逃避行』もたくさん聴いていただいたので、このあたりが多分、ターニングポイントだったのかなと思ってます。

インタビュー全編は本誌をご覧ください。

※1:Desk Top Music(デスクトップミュージック)の略。パソコンを使用して音楽を作成・編集することの総称。

カメラ目線のimase
my HERO vol.04(imase)
PROFILE
imase

岐阜県出身。音楽活動開始からわずか2年で、TikTokに投稿したオリジナル曲の総再生回数が20億回を突破しティーンから絶大なる人気を得る。メジャーデビュー曲『Have a nice day』はSpotify日本バイラル週間チャートで1位を獲得するなど各種チャートを席巻。2022年4月には「ポカリスエット」や「JT」の新CM主題歌、ドラマタイアップにも大抜擢される。2023年、シングル曲『NIGHT DANCER』が韓国を代表する音楽プラットフォーム「MelOn」の総合チャートTOP100にランクインし、J-POPとして初の快挙を達成。K-POPの有名アーティストたちによる「踊ってみた」動画が注目を集めた。2023年3月30日には、渋谷WWWにて自身初となる有観客ワンマンライブ『POP OVER』を開催し、チケットは即完売。今秋に自身初のツアー『imase 1st LIVE Tour 2023』の開催も決定している。

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